2020年度の政策保有株式-縮減が進む一方で資本業務提携による増加も- / 日興リサーチセンター

日興リサーチセンターさんが、2020年度の政策保有株式-縮減が進む一方で資本業務提携による増加も- のレポートを出しておられます。

【Short Review】2020年度の政策保有株式-縮減が進む一方で資本業務提携による増加も- | 日興リサーチセンター

政策保有株式が増加した上位企業のリストのなかで、やっぱり出てきました住友不動産さん。

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2020年3月期は、増加は上場株式15銘柄、7825百万。売却は2銘柄、2301百万。

2019年3月期は、増加は49銘柄、28943百万、売却はゼロ

コーポレートガバナンス報告書での原則1-4 政策保有株式では、以下のように書かれており、取締役会という単語が出てこず、取締役会での保有意義等の議論はスルーされているのでしょうか?

(CG報告書からコピペ)

 取引先等との安定的・長期的な取引関係の構築および強化等の観点から、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合は、当該取引先等の株式を取得し保有することができるものとしております。
 政策保有株式のうち、主要なものは、取締役・執行役員の出席する経営会議等の重要会議において、上記保有目的に照らし、保有に伴う便益やリスクを総合的に勘案し、その保有の適否を判断しております。なお、保有を継続する意義が失われていると判断される株式については、縮減の対象とするなど、その保有意義を個別に検証しております。

 安定株主が47%あるとすれば、機関投資家は政策保有株式の縮減がなされていないとして取締役選任に反対しても特に動じる必要はないみたいですね。


 社外取締役は2名。日本板硝子出身の出原さん(2014年から社外監査役、2019年から社外取締役)、住友金属鉱山の家守さん(2019年から)、ともに住友グループ。特定投資株式に日本板硝子の名前はありませんが、住友金属鉱山は3.745百万株あり相互で持ち合いをしています。あまり期待はできないメンバーと考えられます。

 ほかに、住友不動産さんの報酬に関して?という点が多々あります。

・月額報酬、賞与、退職慰労金を一本化した業績連動型報酬制度を2004年に導入。年間総額を連結経常利益の1%としている点。前年度の収益に依存、中長期業績連動がない。株式報酬がない、すべて現金報酬。取締役の任期は2年、報酬は前年の数字と整合性はないのではと思います。

・半分は支払いを留保。退職金、業績悪化時の補填などに充当。2020年3月期の有報で退任した高島さんに退職時報酬として約22億円の支払いが発生。

 任意の報酬委員会もなく(指名もない)、ガバナンスが変わるということは当面なさそうです。