議決権行使結果(2021/4-2021/6)
1.気候変動に関する株主提案
アセットマネジメントOne、野村アセット、住友トラストアセット、三菱UFJ信託の4社の気候変動に関する株主提案の行使結果をみてみました。
・AMOneさんは、中長期的に株主価値向上に資するということで3社とも賛成
・野村さんは、業務執行に具体的な制約を加える可能性があるので2社に反対
・住友さんは、中長期的な株主価値の最大化に繋がらないと判断、反対
・三菱さんは、3社とも気候変動に対するに対応に特段問題がないと考えられるので反対
各社さん、定款変更という理由では反対はしておらず、企業の対応状況、業務執行に影響があるかどうか、中長期的な企業価値向上に資するかどうかで判断されています。
AMOne Nomura SMTAM Mitsubishi
東洋製缶 For Against Against Against
住友商事 For Against Against Against
三菱UFJFG For For Against Against
(利益相反がらみでISSの判断)
賛否理由は以下
(AMOne)
(野村)
(SMTAM)
株主提案議案については、中長期的な株主価値の最大化に繋がるかどうかの観点から議案判断を行いました。
(三菱)
同社の対応に特段問題がないと考えられることから、反対。
参考資料として、https://www.nikko-research.co.jp/library/10258/
2. 前田建設工業(1824)と前田道路(1883)
野村アセットさんは、株式移転による持株会社化に反対しています。反対理由は以下。
前田建設:「シナジーが明確でないこと、上場子会社の少数株主の利益保護について説明責任を果たしていないことを考慮し反対しました。」
前田道路:「少数株主との利益相反が大きく、経済的条件が不利な内容であることについて説明責任を果たしていないと判断して反対しました。」
2/25に持株会社となることを発表。移転比率は前田道路1株に対し前田建設2.28株。11%ぐらいのプレミアムしかない。これが反対理由の経済的条件が不利という理由に繋がるのかも。
シナジーについては、私にはよくわかりません。5/14に「新ホールディングス設立に向けての中長期経営ビジョン」を公表。これまではグループ全体としての戦略の実行や経営資源の有効活用が課題として認識、これからは価値共有によるグループ全体戦略の実行、シナジーによるさらなる強化、経営資源の流動性の最大化が見込まれると説明しています。2/25の発表から議決権行使を行うまでに企業と対話しながら、シナジーが明確ではないと判断されたのでしょう。
前田道路特別委員会が前田建設工業と比率に関して協議したということは書かれていないですね。最近のケースでは特別委員会がネゴして価格を上げましたということが書かれていますが。
こういった議案で反対することは非常に難しいと感じています。さすが野村さん。
3. 三信電気(8150)
野村アセットさんは、こちらも反対しています、第2号議案(大株主のExitに自己株式取得TOBをする、そのため準備金等から利益剰余金に振替したい)
また、第3号議案の取締役選任において、社内取3名(会長、社長、財務担当)、社外取4名に反対しています。反対理由は、「取締役としての責務に関する当社基準を満たしていないため」とされています。
「取締役としての責務」は、以下が該当するのでしょうか?
村上氏関係会社との闘いですね。2度目の自己株式TOBの実施です。1回目は200億、今回は150億。反対理由、その通りだと思います。(ディスカウントしろよ)でも出ていってほしかったんでしょう。社外4名は資本政策検討委員会の委員です。
濫用的買収者がいつやってくるかもしれないので、買収防衛策は必要なのではないでしょうかと最近は思っています。