統合報告書:JR東日本グループレポート2021

 少し前にJR九州グループの統合報告書を見たので、今回はJR東日本グループレポート2021をみていきます。以下のリンクはJR東日本ニュース。

https://www.jreast.co.jp/press/2021/20210730_ho01.pdf

 このリリースの中で、JR東日本の「価値創造の歴史」、「強み」、「強みをベースにしたビジネスモデル」を掲載し経営戦略に至るストーリー性を重視した構成にしているとあります。

 「強み」は、生活インフラを支える重層的で”リアル”なネットワークとヒトの交流の拠点となる駅等を持ち、首都圏を中心に、ヒト・モノ・カネ・情報が交流・蓄積していることとしている。しかし、この「強み」がトップメッセージで記載されているように、固定費の高さ、駅を中心としたビジネス展開という弱点となっています。この弱点を克服するためにBeyond Stations構想などがあるとは思いますが、それがどのように価値向上につながるのか、見ていてもよくわからないというのが今の率直な感想です。

 「強みをベースとしたビジネスモデル」、前年のレポートではビジネスモデルの記載はなかったと思いますが、今回記載されています。強みはそれぞれ〇〇資本に分類可能でよくあるビジネスモデルの絵と変わりがないような気がします。

 トップメッセージの最後の方で、社員のエンゲージメントの向上がグループの発展につながる、グループの進むべき方向や目標と社員一人ひとりの目標をよりマッチングさせることで、参画と成長のサイクルを回していく、とあります。社長を含むトップマネジメントや社外取締役がどの程度、どのくらいの時間を社員エンゲージメントに費やしているか知りたい。それと社員エンゲージメント、満足度など時系列での変化を示してほしい。

 取締役会の実効性評価の取組みの記載内容は詳しくなってきています。評価項目に業務執行に関する意思決定があり少し違和感がありましたが、監査役会設置会社であり業務執行の意思決定もあるので仕方がないのでしょう。

  報酬に関しては、社長に一任ということで社長の諮問委員会として報酬委員会があります。これでいいの?とは思います。あと報酬の開示が足りない、変革2027に向けた貢献度とかの開示がもっとあればいいと思います。

 例えば、ソニーさんのように、Purpose&Value浸透度・共感度調査結果、エンゲージメント指標の推移を示し、「エンゲージメント評価結果は各事業責任者を含むSGC役員の評価指標の一部として反映されています。」と書かれていれば報酬制度にきちんと反映されていることがわかります。

 レポートとしては過不足なく情報を提供はしていると感じますが、信頼・安全をベースに豊かさ・生活で稼いでいかなければならない、そこがうまく伝わってきたいない気がします。