オプジーボ 和解

小野薬品工業さんが裁判所からの和解の勧めを受け、本庶さんとの和解が成立したとリリース。

https://www.ono.co.jp/sites/default/files/ja/news/press/news_%E8%A8%B4%E8%A8%9F%E3%81%AE%E5%92%8C%E8%A7%A3%E6%88%90%E7%AB%8B%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B_20211112.pdf

・今まで通りのロイヤリティを払う

・和解金などで50億円の支払い

京都大学に設立される「小野薬品・本庶記念研究基金」に230億円を寄付する

ということで280億円の支出。262億円を請求する訴訟とほぼ同額

会社としては先生に262億払うよりも京都大学を絡めて基金への寄付ということできっちり払いますということを示したということで、ちゃっかり得をしたのが京都大学と言えそう。

小野薬品さんの9月末のBS、現金811億、投資有価証券1510億、リース負債が90億。引当金207億あり。280億円のキャッシュアウトは財務的には問題なさそう。

年間600億円以上R&Dで使っているので、230億円の投資効果(寄付効果?)どのように考えているのでしょう? また大学の研究室への支出は年間どのくらいなのでしょう? 

 

 

地域金融機関における人的資本の開示状況 / 大和総研

大和総研、2021年10月1日の「地域金融機関における人的資本の開示状況」レポートです。

地域金融機関における人的資本の開示状況 2021年10月01日 | 大和総研 | 廣川 明子

85社の地銀の人的資本の開示状況について考察されています。多くの銀行が人材について重要戦略や施策として位置付けているが、開示資料ではその内容が千差万別みたい。

そのなかで、ふくおかFGについてはの記述があります。頭取はもちろん、人事部長、経営企画部長、ビジネス開発部長、戦略子会社役員、人材開発センター長、社外取締役などそれぞれの立場で人材戦略の重要性や方針が述べられ、全社に広く人材の価値観が共有されているとのことです(2020年10月の統合報告書から)

最近、2021年版の統合報告書が発行されているのでどのように変化があるか見てみます。29,729KBあります、ちょっとでかいですね。

人財関連についてみてみると;

・トップメッセージに「変化に強い人財・組織をつくる」という1ページが新たに入っています。環境変化に柔軟にかつ迅速に対応していくための多様な人財の確保と育成、チャレンジし続ける組織カルチャーの醸成が必要としています。

・人事トップのページ「人財力の最大化」のページでは、昨年になかったキャリアチャレンジ応募者数、キャリア採用者数の推移、サタカレ受講者推移を載せています。自律的な人財の育成につながる取り組みを紹介。新たに1on1ミーティングを実施したみたい。

・深沢社外取締役の2年続けてのインタビュー。前年と比べての変化がわかるので同一人物の連続は良い。人財戦略について半ページ分しっかり書かれています。2年続けて2ページきちんと書かれていると次の社外取締役の人大変ですね。

など、人財戦略等の内容、開示は昨年よりも充実しています。

そのほか、統合報告書で昨年比気づいた点は;

・TCFD提言に沿った情報開示が進捗

・サイバーセキュリティの箇所も充実

・組織風土インタビューの内容、変化などもう少し開示があればいい

・インナーコミュニケーション、昨年と同じ写真。コロナ禍なのでWEBでやっている感じの写真でも載せた方がいい

全体的に良い統合報告書だと思います。

 

BCGの報告書:長期の時間軸を実装した経営と投資家との対話の在り方及び新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業情報開示に関する調査研究

経産省の研究委託事業の報告書です。BCG作成、2021年3月12日付。

https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2020FY/000421.pd

Agendaは以下の通り

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国内企業のアンケート送付先は、東証1部売上高上位500社。アンケートの有効回答企業数は199。ヒアリングは199社から20社選定。

アンケート結果の一部は以下

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サステナビリティの同期、結構取り組みが進んでいるとしているが本当?

 

CSRに関する研究のサーベイ: CSR基準の統一化・開示の義務化の観点から / 日銀金融研究所

 日本銀行金融研究所から、「CSRに関する研究のサーベイCSR基準の統一化・開示の義務化の観点から」がでています。

https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/21-J-09.pdf

CSR?、なぜCSRという用語を使ったのか脚注1(以下)で理由が書かれています。

CSR に近い意味で ESG(Environmental, Social, and Governance)や持続可能性(sustainability)といった用語が用いられることがある。これらの用語について、厳密には学術的な意味や目的は異なるものの、学術論文では CSR の用語が用いられることが一般的との指摘(Christensen, Hail, and Leuz [2019])を踏まえ、本稿においても CSR の用語を用いている。

 

卒論や修論をどんなテーマで書くか、その時に役に立ちそうなpaperです。

個人的には保証に関する研究について詳しく知りたいですね。参考文献がたくさん紹介されていてありがたいです。でも多くがきちんとしたjournalなのでアクセスできないです。

新しい資本主義実現会議(第2回)議事次第・資料

www.cas.go.jp

新しい資本主義とは? 以下のことを言うのでしょう。

・現在、世界各国において、持続可能性や「人」を重視し、新たな投資や成長につなげ
る、新しい資本主義の構築を目指す動きが進んでおり、

・具体的には、1980 年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じていることを踏まえて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら、格差の是正を図りつつ、民間企業が長期的な視点に立って「三方良し」の経営を行うことで、現場で働く従業員や下請企業も含めて、広く関係者の幸せにつながる、長期的に持続可能な資本主義

このどこが新しいのか?とは思います

公私で興味があるのは、

Ⅱ成長戦略
・海底直流送電線の実現可能性調査
・電動者(「電動車」使うんですね)への購入支援(tesla買いたいんで,powerwallも)
核融合研究開発(30数年前、核融合炉の研究をしていたので興味あり)
・新しい技術の可能性を見出す経営の「目利き力」や、事業化に繋げる「事業立ち上げ力」の強化、こうした力を持つ人材の育成、経営戦略と知財戦略の一体的な推進など、民の経営力の強化を進める
・SPACの検討状況
Ⅲ分配戦略
・人的投資

委員の方々の意見の中で個人的に関心があるものをいくつか紹介

渋澤さん;
・大学ファンドの財源は財投ではなく、日銀 ETF の現物化を検討
インパクト会計の検討・研究による企業価値の再定義の可視化
・過剰な現金保有(例えば、>純資産)にはペナルティ(課税強化)、 内部留保課税ではなく。。。 

冨山さん;

・高リスクの大規模イノベーション投資(リスクマネー循環)の持続力が問われる破壊的イノベーションの時代においては、本業の稼ぐ力が未来投資力、人材投資力、ESG投資力を規定する
・「三方良し」は分配論、費用論よりも、まずは成長論、投資論で語られるべき新資本主義の時代

 

片倉工業(3001)MBO発表

片倉工業さんがMBOを公表(2021/11/8)

https://www.release.tdnet.info/inbs/140120211108427224.pdf

時系列で動きをみてみましょう

2021年6月下旬ごろにはMBOをすることをほぼ決めた
8月上旬、OASISと面談、2000円+一定程度超える金額であれば応募してもらえるという感触を得る

8/16、会社側に提案

8/18、特別委員会設置、社外取締役2名(大室氏、桑原氏)+松山氏

10/4、1875円を提示、ダメ

大株主とは10月上旬までに相談、協議

10/18,1975円、ダメ

10/27,2000円

11/1、会社側は2228円を提案。Oasisは2150円であれば応諾する

11/6、2150円で提案。他の大株主も応諾

11/8,2150円で応諾

何か壮大な(?)やらせのような気がしますが、ルールにのっとり決定されていますのであまり文句は出ないのかもしれませんが、すこし安くありませんか?というのが第一印象でした。

現在の時価総額605億円、株価1822円。現金336億、投資有価証券347億、有利子負債112億、賃貸不動産の含み損益963億

2150円換算の時価総額は714億

みずほ銀行とは最大890億の融資を決めています。株数で割ると2679円です

昔、佃大橋をてくてく渡って会社に訪問したことが何度かありました。上甲社長に代わって変化しているとは感じてはいましたが、会社にとってはMBOはいい手でしょう。Oasis他うるさい投資家がいなくなり、投資有価証券も売却する必要はなくなります(だぶん担保)

 

追記(2021/12/18)
・株価はTOB価格2150円を上回って推移。Oasisが応募、みずほ系の法人株主が応募しても2/3は微妙?

追記(2022/3/4)
・下限に満たずMBOは失敗。配当、株主優待復活

・賃貸不動産の含み益970億(短信より)

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本の感想:成功する日本企業には「共通の本質」がある ダイナミックケイパビリティの経営学

成功する日本企業には「共通の本質」がある ダイナミックケイパビリティの経営学

菊澤先生の本を読みました。

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理論的な構造など知りたい方は第3部から読んでみてくださいというサジェスチョンがあったので第3部をはじめに読み、第1部から順に読み終えました。

社会人大学院の時に先生の講義がありました。受講したかどうか記憶が定かではないですが、「不条理」という言葉がいまひとつピンと来なかったので多分受講していないと思いますが、菊澤ゼミと合同で何かした覚えはあります。

ここ最近、企業戦略論、競争の戦略と昔の分厚い本を読んでいたので、今回の本は土日で読むことができました。競争の戦略、バーニーの企業戦略論(VRIOからVRINに)を読んできたので、それらの考えなど纏めながら、ダイナミックケイパビリティを理解することができました。「不条理」という言葉も理解しました。

・日本は文化的には「開かれた社会」だが、社会関係においては「閉ざされた社会」(丸山氏)、これが日本経営が持つ二面性という考えにはagreeです。
・お客さんが欲しいものを作るのではなく、お客さんのためになるものを作る。

最後の章にトヨタ自動車の事例がありました。うまくダイナミックケイパビリティを発揮してきたと書かれています。この本は2019年3月30日に発行なので、発行以降の約3年の間の評価を入れると本当にうまくやってきているのか、これはもう少し時間が経過すると判明するのでしょう。

次はまた古い本です。「イノベーション経営学NTT出版 2004年を読み返します。結構な数を折ってますね。

11/8 3章まで読みました。読みやすいです。だから結構線を引いたり折ったりしてるんですね。でも記憶にない