「原子力発電所の長期運転と脱炭素化戦略」について  / OECD/NEA報告書

 経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)が、2021年7月29日、原子力発電所の長期運転と脱炭素化戦略」という報告書を発表しています。

OECD/NEA報告書「原子力発電所の長期運転と脱炭素化戦略」について | 一般社団法人 日本原子力産業協会

エグゼクティブ・サマリーは日本語で、実際の報告書(約150ページ)はこちら

Nuclear Energy Agency (NEA) - Long-Term Operation of Nuclear Power Plants and Decarbonisation Strategies

 

エグゼクティブ・サマリーの抜粋
・長期運転は野心的な脱炭素化戦略において、電力供給の持続可能性、競争力及び安全保障を支える
 長期運転は、当初の設計の前提に対応して以前に確立された運転期間(通常は設計に応じて 30〜40年)を超えて、包括的な安全評価によって正当化される運転として定義される。当初想定の運転期間は、より長期の運転期間を禁止する技術的制約を表すものではなく、残存耐用年数と混同してはならない。残存耐用年数は、実際のプラント条件と最新の知見を考慮して、定期的に再評価される。殆どの場合、耐用年数は当初想定された設計寿命よりも長い。運転認可の延長を認める事例は殆どの国の法律や規制でも見られる。
・長期運転のための重大な技術的障害はない

原子力発電所は、その寿命の間に、構造物・系統・機器(SSC)の殆どが通常の保守手順や改修工事の一環として交換される。交換を行うことによって、経年化の影響を軽減し、最新の規制、知識、運転経験に従って必要な安全性向上を実施できる。但し、技術的・経済的な理由で交換が不可能と見なされる SSC がある。これらのコンポーネント経年変化によって最終的に原子力発電所の運転期間が制限される。原子炉圧力容器などが該当する。
サプライチェーン能力の維持が重要
原子力発電所の LTO (Long-Term Operation)を可能にする政府の役割 

主な政策提言
1.既存の低炭素設備容量を維持する
2.経年変化メカニズムとその管理に関する情報の技術的基盤を拡大する
3.新しい技術とプラントの強化をサポートする
4.広範な産業経験を活用するための協力を促進する
5.あらゆるレベルでサプライチェーン能力と原子力の専門知識を維持する
6.長期的で予測可能な産業計画を策定する
7.長期運転のシステム価値が十分かつ確実に評価されるように市場規制を改革する

 

日本語のエグゼクティブ・サマリーで、報告書にある図、表、ボックス記事はそれだけでも参考になると書かれています。

いくつか載せておきます。

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80年のシナリオが入っています。

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Nuclear、変動してます(フランスだからですかね)

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各国違うんですね。フランスなどは、Indefinite。日本は1回だけですが、ほかの国はNo limit on the number of renewals. というところが結構あります。

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人材確保・育成についてフランスの例があります。

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以上です。

電力中央研究所のレポート

米国及び欧州諸国の原子力発電所の長期間運転を巡る動向 (2021年3月)

https://criepi.denken.or.jp/hokokusho/pb/reportDownload?reportNoUkCode=Y20002&tenpuTypeCode=30&seqNo=1&reportId=9016

2021/10/8 追加