CEO Tenure and Firm Value を読む
SSRNから、”CEO Tenure and Firm Value”
(Last revised: 10 Aug 2021) ダウンロード数は873
下の図のようにCEOの在任期間と企業価値はこぶ型となるそうだ。(在任期間の短いCEOの突然の死はマイナス、長い在任期間のCEOの死はプラスに働くそうだ)
また以下のようないろんなことが判明。
・研究開発費が多い産業やグローバル化が進んでいる産業では、CEO在任期間中に企業価値のピークが早くなるが、安定した環境では、CEO在任期間中に企業価値のピークが遅くなるか、CEO在任期間と正の相関がある。
・企業価値は、変化への適応力が低いCEO、一般的な経営スキルが相対的に低いスペシャリストのCEOや相対的に年齢の高いCEOの場合には、CEOの在任期間中に早期にピークを迎えるが、ジェネラリストのCEOの場合にはピークが遅く、若年層のCEOの場合には在任期間中に増加する。
・時価総額の大きいローカルな同業他社のCEOの方が、企業価値のピークが早い。
この論文の結論は、
・CEOの定期的な交代は株主にとって価値があることを示唆。当初は企業にマッチした成功したCEOであっても、在任期間の後半になると企業価値が低下する可能性があるから。
・しかし、在職期間と企業価値の関係が企業やCEOによって大きく異なることを考えると、CEOの任期を制限するという方針は支持しない。
・平均的なターニングポイントは約14年。多くのCEOがその「ピーク」の前に在職期間を終えている。CEOの在職期間が短すぎるのかもしれない。
日本企業のケースではどうであろうか? 信越化学、キヤノン、トヨタ、日本電産あたりを調べてみようかな