本の感想:「イノベーションの最終解」

途中まで読んで放置していた積読の一冊。
イノベーションの最終解よりも原著のSeeing What’s Next:Using Theories of Inovation to Predict Industry Changeのほうがわかりやすいと思いますがどうでしょう?


イノベーションのジレンマ、解を読んでいる方は、「終章 結論 次に来るのは何か?」と「付録 主要な概念のまとめ」を読むだけでも十分だと思います。そもそも2014年日本語版、原著は2004年発行なのでこの本をわざわざ手に取らないですね。

終章での蛍光マーカーで線を引いたところは、

本書の重要な教訓4つは、
1.破壊とはプロセスであって、一過性の出来事ではない
2.破壊とは相対的な現象である。ある企業にとっては快適なイノベーションが、別の企業にとっては持続的なイノベーションになるかもしれない
3.異質な技術や急進的な技術が破壊的イノベーションとは限らない
4.破壊的イノベーションは、ハイテク市場だけのものではない。破壊はどんな製品・サービスにも起こるし、国家経済間の競争を説明することもできる

〇経験の学校で適切な「講座」を受講した規律ある経営陣が不可欠。この規律こそが破壊を最終的に成功に導くカギ

〇最後に5つの助言を贈りたい、のうち4と5
 4.口で言うことと実際に行うことは違う。上層部が執筆したが、組織の中では意味をなさない大胆な経営理念が具体的な行動に移されることはまずない。
 5.選択は確かに重要だがそれがすべてではない。企業に無限の自由度があるわけではない。企業が初期に下す決定は企業の能力に大きな影響を及ぼし、企業のできることとできないことを決定し、その結果企業がどのような戦略を受け入れがたいと感じるかが決まる。

付録では、

〇片づけるべき用事の理論(今ある、社会ニーズに対応する課題解決に通じるもの)
〇経験の学校の理論(失敗してもいい、過去に取り組んだ難題を示す過去形の動詞に注目、それが組織が直面する問題と一致する必要がある)
創発的戦略の理論

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以下、読んで気になった点:

・資源、プロセス、価値基準は統合報告に近いのでは?(p72以降)
・既存企業が破壊の黒帯をとる方法(P113以降)に書いてることは、両利きの経営では?
・P294、「破壊の輪」。アメリカは破壊の輪に乗って前に進み続けることができたが、日本はそれができなかった。その破壊の輪を動かす要因は6つ。人材市場、資本市場、制約の少ない製品市場、破壊を支えるインフラ、活気ある業界環境、研究開発。