東証、TCFD提言に沿った情報開示の実態調査を公表

https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0090/nlsgeu00000610sr-att/TCFDSurveyJP.pdf

日本の542機関が賛同していますがそのうち上場企業259社の開示内容を調査したものです(2021年3月末時点)。開示しているかどうかであり、質は評価したものではないと断りをいれています。

TCFD提言では11項目の開示が推奨されています。11項目の中で開示している割合が最も低いのは、シナリオに基づく戦略のレジリエンスの説明です。これは日本に限った話ではなく世界的な傾向です。

次に低いのがリスク管理の3項目です。こちらも世界的な傾向です。

時価総額別の開示状況では、1兆円以上の企業の開示割合は高く、3000億円未満は低くなっています。体制面などが影響しているものと考えられます。

業種別の開示状況をみると機械セクター、情報通信・サービスなどが低くなっています。高排出の業種の開示率は総じて高くなっています。

259社のうち14社がTCFDレポートを発行しています。

 

 

 

 

日銀レビュー:ESG 投資の発展に向けた実務的な課題とその克服に向けた取り組み

https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2021/data/rev21j13.pdf

日銀さんが、「ESG 投資の発展に向けた実務的な課題とその克服に向けた取り組み」というレビューを公表されました。

実務的な課題として3点、

①企業のESG情報開示の拡充、②ESG評価に関する透明性向上、③ESG投資における投資目線の確立 を挙げています。

①については、いろんな基準が乱立、企業側は混乱していると察しますが、収益や企業価値とどのような関連性があるのかを企業側が示してくれれば、投資家サイドがそれを解釈、理解すればいいのであって、どの基準でもOKだと思います。しかしすべての企業を投資家はカバーしているわけではないので、ある基準に沿った情報開示をすることでESG評価会社のESGスコアの質が保たれると考えます。ESG評価会社それぞれの俺のやり方があるのでスコアの一致は必ずしも必要ではなく、投資家がESG評価会社の癖を理解しておけばいいだけのこと。

③について、レビューの中にESG投資のパフォーマンスを評価するためには10年程度の長期データ等の蓄積が必要とあるが、アセットオーナーがAMを評価するのは1-3年程度。AOは待ってくれないので、企業のESG取組みが与える企業価値向上(α)が実現するようにIRの取り組み強化を薦めたり、AOへは成功事例を挙げながら丁寧な説明を行うことで理解していただき評価してもらう。

 

はやくESG投資という言葉が無くなってほしい。

 

The Sustainability Board Report 2021

Reports & Research| The Sustainability Board Report

2020年版では、there is generally a very low level of hard ESG competence on boards. と報告していました。ExectivesとNon-Excecutive directores とこの結果のフィードバックすぉする中で、やはり取締役会のESGに関する能力は低いと言わざるを得ないとなったそうです。

しかし、取締役会は何も対処していないわけではなく、ウェビナーなどを通じて少しずつESGに関する意識が高まっているそうです。いいことですね。取締役への継続的な教育(?)は必要です。

 

Board effectiveness: A survey of the C-suite / PwC & The Conference Board

PwCとConference Board が共同でアンケートをとったものです。

Board effectiveness: A survey of the C-suite 

www.pwc.com

Board とExecutive、両者かなり感じていることが違うなぁと、このアンケート結果が示しています。最後にはBridging the gap: Working together to strengthen oversight とExecutivesと Directorsがこれからすべきことが書かれています。企業のExecutive、社外取締役とお話しする際に良い材料になります。

アンケート結果からいくつか紹介。ExcellentとGood合わせて29%、55%はまあまあ。

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CEOはExcellent&Goodが74%と高いが、LegalやTechnologyのトップはそうは感じていない。横は取締役のリプレイスメント。CEO以外は多くの人が取締役のリプレイスメントが必要と感じている。

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しかし、取締役はリプレイスメントは必要と考えていない人が多い。

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ESGに関しての理解度に大きな違いがある

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この数字は少しショックですね。でもこんなもんなんでしょう。

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中国安全保障レポート 2022 / 防衛研究所

www.nids.mod.go.jp

2010年からスタートしている中国安全保障レポートです。初めてです。

軍も高度な人材採用には苦労しているみたいです。

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表1-5は経営に必要な能力と同じです。

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おわりの最後の一文。人的資源、組織資本も十分考慮しましょうということです。

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戦略などもともと軍事関係の言葉なので共通していますね。

2021 Annual Corporate Governance Review / Georgeson

https://www.georgeson.com/us/news-insights/annual-corporate-governance-review#contact

Historic and Groundbreaking: A Complete Analysis of the 2021 US Annual Meeting Season 

S&P1500を対象とした株主提案のデータ、各社の動向がわかる非常にありがたい資料です。

以下は環境に関する株主提案(一部)の各AMの賛否です。Dimensional、Invesco、CapitalのSplitの多さ、半端ないですね。大手3社の中でBlackRockだけがCOPのEmission reduction Targetsでsplitしていました。

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議案として出るかでないかをみると、環境、社会関連は結構Not Voted、取り下げされています。No-Action letterの運営も変わってきますし、総会前に提案者と協議し取り下げる方が会社にとっていいのでしょうか?

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SPAC制度の在り方等に関する研究会 第3回の資料 / 東証

SPAC制度の在り方等に関する研究会 | 日本取引所グループ

第3回が11月24日に開催、資料が開示されています。

第2回の議事概要にあるように、PIPEはSPAC上場制度の肝だが、果たして日本にはPIPE投資家がどれだけいるのか?という疑問がありましたが、その疑問同感です。

第3回は、本日のご議論の箇所、SPACの上場制度とスポンサーの在り方を議論したみたいです。議事概要を楽しみに待ちます。

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